ステファニー A. アーチック
2024-25年度会長
2024年12月
ロータリー行動計画に示されているように「適応」するためには、これまでのやり方から一歩抜け出して、何か新しいことにチャレンジする必要があります。今月のメッセージでは、適応力を示した二つのクラブの例をご紹介します。一つは「心」で、もう一つは「批判的思考と戦略」で適応したクラブです。
インドのChandigarh Mid Townロータリークラブは今年初め、「心」を大切にして行動を起こしました。会員の参加を促し、会員基盤を強化するため、クラブ会長の二キン・カプールさんは、退会したすべての会員に直接電話をかけ、元クラブ会員の同窓会に招待しました。
元会員8名が出席し、素晴らしい結果となりました。これらの元会員は、現会員とつながることができただけでなく、会員同士の仲間意識や帰属意識を再び感じることができました。その夜の終わりまでに、クラブは元会員のうち6名を再びロータリーファミリーに迎え入れることができたのです。
勇気を出して元会員に働きかけたカプールさんは、適応力をもって新しいことを試しただけでなく、ロータリーファミリーにとって元会員が今でも大切な存在であることを知ってもらうことに成功しました。勇気を出したことが、報いにつながりました。
誰でも自分が必要とされ、大切にされていると感じたいと望んでいます。そして、帰属意識を求めています。このように感じてもらうには、私たちが勇気を持ってそれを伝える必要があるのです。
一方、韓国のSeoul-Hansooロータリークラブは、より大きな効果を求めて異なるクラブモデルを試してきました。過去4年間、このクラブは四つの衛星クラブ(奉仕クラブ、音楽愛好家のための関心に基づいたクラブ、職業人へのメンタリングを行う分野特化型クラブ、大学生のためのクラブ)を設立・維持してきました。
これらの衛星クラブは、イノベーションを通じて会員数を増やすためにこのクラブが実施した5カ年計画の一部です。
これほど多くの衛星クラブを設立・維持する秘訣は何なのでしょうか。このクラブと衛星クラブの会員基盤は流動的で、相乗効果に満ちています。衛星クラブの多くの会員がスポンサークラブの例会に参加し、スポンサークラブの会員も衛星クラブの活動に参加しています。
さらに、各衛星クラブは特定の活動分野に特化しており、スポンサークラブ会員や地域社会の人びとの異なる関心にアピールすることで現会員や入会候補者への魅力を高めています。このような柔軟な方法は、会員の維持と入会の促進の両方にとって絶好の戦略と言えます。入会に関心があってもスポンサークラブの例会では都合がつかないという人は、衛星クラブのオプションを選択できます。
これらは、心と頭で適応したほんの二つの例です。クラブの個性を知るために、クラブ会員や地域の人たちに働きかけることを奨励したいと思います。求めているクラブでの体験を聞き、それを基にどんな改善ができるか検討してみましょう。
十分な数の人たちと話すことで、クラブが適応し、クラブで「ロータリーのマジック」を実践できるでしょう。
2024年11月
ロータリーの最大の強みの一つは、会員が一体となって末永く続く変化を生み出す力です。そしてロータリー財団は、変化という夢を私たちが現実にするのを支えます。
ポリオの根絶から平和の構築に至るまで、私たちが世界中で行っている活動の多くは、財団への継続的な支援なしでは実現できません。
平和への理念は私にとって特に重要です。私たちが平和を築く最も効果的な方法の一つが、ロータリー財団の産物であるロータリー平和フェローシップです。このプログラムは、世界中の平和・開発の専門家やその志望者が、紛争を予防し終結させる方法を学ぶのを支援します。
また、オットー&フラン・ウォルター財団からの1,550万ドルのご寄付のおかげで、イスタンブールのバーチェシェヒル大学に新設されるロータリー平和センターで、今後もさらに多くの地域の平和構築者を支援できるようになりました。
新たな平和センターの開設は非常に大きな成果であり、2025年にイスタンブールで開催されるロータリー会長主催平和会議でも祝われます。
2月20~22日に開かれるこの3日間の会議では、ロータリーファミリーが平和を推進するさまざまな方法に焦点を当てます。基調講演、パネルディスカッション、分科会では、平和構築のためのアイデアを共有し、あらゆる場所で平和を推進するための有意義な対話を持つことができるでしょう。
会長主催平和会議への登録は現在受付中です。ぜひご参加いただけることを願っております。ご参加いただけなくても、財団では世界をより良く変えるためのさまざまな方法を提供しています。11月はロータリー財団月間です。この機会にぜひ財団についてよりよく知り、ご関心のある活動を追求してはいかがでしょうか。
グローバル補助金は、ロータリーの重点分野に該当し、持続可能かつ測定可能な成果をもたらす大規模な国際的活動を支援します。地域の差し迫るニーズに応えるために協力することで、クラブと地区はグローバルなパートナーシップを強化します。
地区補助金は、地元や海外の地域社会のニーズに取り組むための、比較的規模の小さい、短期的な活動を支援します。補助金資金の配分は、各地区が決定します。
財団は、ロータリー青少年交換、ロータリー青少年指導者養成プログラム、インターアクトなどの素晴らしい青少年プログラムの実施においても支援を提供します。
また財団へのご寄付は、大規模プログラムも可能にします。これらは、通常解決困難な問題に取り組む長期的なプロジェクトです。
このような素晴らしい活動を末永く続けていくことは、2025年6月30日までに20億2,500万ドルを集めるというロータリー恒久基金の野心的な目標を私たちが達成できるかどうかにかかっています。
「ロータリーのマジック」はどこからともなく現れるものではありません。それは、私たちが新会員を迎えるたびに、プロジェクトを終えるたびに、財団に寄付するたびに生み出されるのです。
ロータリー財団への支援にご参加ください。そして、力を合わせてより良い世界を
築いていきましょう。
2024年10月
10月24日の世界ポリオデーにあたり、私はさながらEnd Polio Now(ポリオ根絶)という目標に向けて世界中で一丸となっているチーム・ロータリーの応援団長です。
7月に、野球のメジャーリーグチームのピッツバーグ・パイレーツの本拠地であるPNCパークで開催された「Strike Out Polio」というイベントに参加しました。このイベントはDelmont-Salemロータリークラブが主催し、ポリオプラスに130万ドルもの寄付金を集めました。
今年の夏はまた、ロータリーファミリーのメンバーと一緒に、Más Millas Menos Polio(More Miles Less Polio)という自転車ツアーも応援しました。フェリペ・メザ・チャベスさんは募金と認知度向上の活動として、チームを組んでメキシコのシウダード・フアレスからイリノイ州エバンストンのワン・ロータリー・センターまで自転車で走破しました。12日間走り続けたフェリペさんのチームは、ポリオ根絶活動の支援のため10万ドルを超える寄付金を集めました。ゴールであるエバンストンに到着した彼らを迎えることができて、とても感激しました。
そして、2024年パリ・オリンピックに合わせてチーム「エンド・ポリオ」が世界的な認知向上に貢献する姿に胸を打たれました。このチームには、子どもたちがポリオによるまひを恐れながら暮らすことのない世界を目指して、世界的に有名なアスリート、各界のリーダー、ポリオ根絶活動支持者が名を連ねています。チーム「エンド・ポリオ」のアスリートの中には、自らポリオサバイバーとして活動に取り組む方もいます。そのような方の声は、一層の重みがあります。
これらは、ロータリーがポリオ根絶に向けてチームとして取り組んでいるさまざまな活動のほんの一部にすぎません。ポリオ根絶に向けて、引き続きチームメイトを募集していくことが重要です。特に今年は活動において課題に直面したこともあり、例年にも増してその思いを強くしています。
世界保健機関のポリオ根絶ディレクターであったエイダン・オリーリー氏の急逝は、ロータリー全体に大きな悲しみをもたらしました。
私はオリーリー氏と直に会って共に活動してきました。ポリオとの闘いのたゆまぬ擁護者であり、心優しく実直な人でした。彼が生涯をかけて訴え続けたことも、彼の温かな人柄も、私たちは忘れません。
しかし、つらいことがあれば、希望もあります。ロータリーが日々数え切れないほどの方法でポリオ根絶への取り組みを支援していることを考えるたびに、私は希望を感じます。
世界を変える行動人として、私たちは悲劇を前にしても絶望に打ちひしがれている暇はありません。オリーリー氏の遺志を継いで、私たちが一丸となってポリオ根絶という目標を達成することが何よりの恩返しになるはずです。
私たちは世界の子どもたちとその家族に約束をしました。グローバルパートナーと共にこの疾病の脅威を完全に終わらせることは、今や私たちの義務です。
ポリオ根絶に向け、私たちがチームとして一丸となって協力する方法はたくさんあります。End Polio Now(ポリオ根絶)活動に寄付する、所属クラブまたは地区でポリオプラス・ソサエティに参加する、あるいはソサエティを立ち上げる、または前述の募金活動からヒントを得ることもできます。
世界中のロータリー会員の皆さん、ぜひ新しいチームメイトを引き続き募集し、共にポリオ根絶に向けて取り組みましょう。
2024年9月
ロータリーのマジックとは「帰属意識」であり、それは思いがけないときに生じるものです。
今年の初め、私は6週間かけてヨーロッパを巡った際、会長代理としてスロバキアを訪れました。当時、第2240地区ガバナーだったカタリナ・セコバさんに手紙を書いたとき、私の祖母ベロニカ・ジルカがアメリカに移住する前に、この地域の小さな村で育ったことを伝えました。
セコバさんが、祖母の故郷であるヤクボバ・ヴォルアの村を探し当てるのに時間はかかりませんでした。セコバさんは同村の訪問も企画してくださり、そこで私は忘れることのできない歓迎をスロバキアの人びとから受けました。
村の公民館に入ると、スロバキアの伝統衣装を身にまとった小さな群衆が出迎えてくれました。その美しく力強い中欧の歌声は、私の祖母を思い出させてくれました。
多くの家族は集まったときにトランプやゲームをして遊びます。私が幼い頃、父はアコーディオンを手に取り、歌で家族をリードしてくれました。祖母も印象的な声で一緒に歌っていたものです。
公民館に入ると、幼少期に聴いた伝統的な音楽が聞こえてきました。そこで私は、父が弾いていたようにアコーディオンを弾く女性を目にし、一瞬にして、幼少期のペンシルバニア州モネセンの祖母の家にいるような気分になりました。よみがえった思い出に、私は嬉しくて涙を流しました。
しかし、マジックはそれで終わりではなく、ガバナーのセコバさんは本当に素晴らしいおもてなしをしてくれました。地元の系図学者が映像作家と協力し、祖母についての短編映画を制作してくれたのです。私たちは公民館でそのビデオを一緒に見ました。
ビデオが終わって振り返ると、部屋の後ろに一人の男性が立っていました。すぐに、この見知らぬ男性、フランティセク・ジルカさんが私のはとこであることを知りました。彼の祖母と私の祖母は姉妹だったのです。まるで雷に打たれたような気がしました。
私は、この新たに出会ったジルカさんの家を訪ねました。そこは偶然にも、私の祖母が生まれた家だったのです。彼は、私が見たことのない、父や叔父、祖母の古い写真を見せてくれました。
このようなことを経験してからというもの、ロータリーファミリーのことが私の頭から離れません。私が皆さんのことをファミリーと呼ぶのは単なる良心からではありません。ロータリーにいるすべての人のことを本当にファミリーだと思っています。とはいえ、ロータリーファミリーが、長いあいだつながりが断たれていた血のつながった家族を紹介してくれるとは想像もしていませんでした。
幼い頃に聴いたスロバキアの伝統音楽を公民館で聴きながら、私は喜びと深い帰属意識に満たされました。セコバ地区ガバナーをはじめ、このような素晴らしい体験の実現に協力してくださったすべての方々に心から感謝しています。
ロータリー会員である私たちには、このようなマジックを互いに、そして世界と分かちあう、またとない機会があります。このマジックを広め、クラブの会員やロータリーファミリーのほかの会員も「ロータリーが自分の居場所」だと感じられるよう、自分にできることをぜひ考えてみてください。
2024年8月
「ロータリーのマジック」で真に世界を変えようとするならば、私たち全員がクラブへの帰属意識をもてるようにする必要があります。どのクラブにおいても、ロータリー行動計画を道しるべとして、独自の道を歩むべきです。それはどのようなものでしょうか。
ベルギーのベーフェレン・ヴァース・ロータリークラブの例をご紹介します。クラブは1974年に設立され、クラブの戦略計画と会員増強計画を策定しながら、時代とともに進化してきました。新会員を見つけるため、クラブは市内の職業を分析して焦点を絞り、新会員が入会したらすぐに任務と役割を与えるようにしました。
クラブはまた、夕方と午後の時間で交互に例会を開き、すべての会員にとって参加しやすくなるよう工夫しています。
クラブは時として、変化を余儀なくされることがあります。しかし、行動を起こす者として、私たちはすべての障壁の裏にはチャンスがあることを知っています。
マサチューセッツ州のホールヨーク・ロータリークラブは、新型コロナの流行後、経費の高騰のために例会場を使用できなくなりましたが、会員たちはこの挫折を力に変えました。クラブは、無料で利用できる図書館のミーティングルームで会合を開き、近くのサンドイッチ屋でランチを手配するようになりました。ランチ代は10ドルですが、注文するかどうかは自由なので、例会出席に必ず費用が生じるわけではありません。これは「みんなに公平」であるための素晴らしい方法です。
この変更以来、このクラブには13人の新会員が入会しました。会員増加の一因は、クラブの包容力にあるのではないでしょうか。それは帰属意識を生む第一歩となります。
クラブでどのような経験をしたいのかを会員に尋ねることで、十分に期待に応えられていないことが分かるかもしれません。これを画期的な方法でクラブを変えるチャンスだと考えましょう。ほかのクラブモデルによって好ましいインパクトをもたらせるかもしれません。
一例として、ビール愛好家のロータリー親睦活動グループ(通称BREW)は、この8年間、水と衛生のロータリー行動グループと密に協力し、グループ会費の25%を寄付して安全な水をもたらすプロジェクトを支援してきました。
BREWは、メンバーの帰属意識を土台として、より良い世界の構築に取り組んでいる多くの例の一つです。
帰属意識の重要性は、いくら強調しても強調しきれません。クラブは、すべての会員が自分たちの必要とする居場所だと感じることができたとき、魅力的な存在となります。私にとって帰属意識とは、「ロータリーのマジック」を発動させる力です。
クラブ会員や地域社会の人びとの声に耳を傾ける際は、その力を引き出しましょう。行動計画は、成功への道を見つける手助けをしてくれます。皆さんが帰属意識をもって道を照らせば、その道はクラブ、地域社会、そして世界の明るい未来へと続いていくでしょう。
2024年7月
ロータリーが最高の状態となるのは、クラブでインクルージョンと帰属意識が育まれたときです。実際、帰属意識こそが「ロータリーのマジック」そのものだと言っても過言ではありません。
インクルージョンと帰属意識に焦点を当てれば、共通の目的のために結束しやすくなります。互いに支えあい、目標に集中することで、私たちの力が最大限に発揮されます。
これを後押しするのが、ロータリーの行動計画です。行動計画には、フィードバックを集め、クラブの強みと弱みを評価し、課題に取り組むために活用できるツールが含まれています。
変わりゆく世界で、クラブがじっと立ち止まっているわけにはいきません。とはいえ、私たちが取り入れる変化は、より大きなビジョンに向けて支えあうような、一貫した戦略的なものである必要があります。行動計画は、このビジョンに向けて取り組み、クラブ内で効果的な変化を生み出すのに役立ちます。行動計画に沿って地域社会からの提案に取り組むことで、すべてのロータリー会員にクラブで感じてもらいたい帰属意識が末長く育まれます。
だからこそ、多様性、公平さ、インクルージョンへのコミットメントを広げることが重要です。互いの幸せを支えあうことは、参加者の基盤を広げる第一歩であり、この困難な時代に積極的平和を広げることを可能とします。
平和の構築は私たちの最優先事項の一つであり、そのための最も効果的な方法の一つはロータリー平和フェローシップです。平和フェローシップを通じて、平和と開発の専門家たちが紛争を予防し、終結させる方法を学びます。
フェローシップは、世界各地の名門大学にあるロータリー平和センターで提供され、これまでに1,800名以上のロータリー平和フェローが卒業してきました。また、オットー&フラン・ウォルター財団からの1,550万ドルのご寄付のおかげで、イスタンブールのバーチェシェヒル大学に新設された平和センターでさらに多くの地域の平和構築者を支援できます。
新たなセンターの開設は非常に大きな達成であり、イスタンブールのセンターで来年にロータリー会長主催平和会議を開催できるのはとても光栄なことです。2月20日~22日に開かれるこの3日間の会議では、ロータリーファミリーが平和構築を推進するさまざまな方法に焦点を当てます。現在、この会議への登録を受け付けています。ご参加いただけることを願っております。
2025年ロータリー会長主催平和会議は、ロータリーの平和構築の取り組みにとって大きな可能性を秘めていますが、この可能性は皆さまのご支援があってこそ実現します。
私たちは魔法の杖を振って呪文を唱えるだけで世界に平和をもたらしたり、ポリオを根絶したり、会員を増やしたりするわけではありません。それは皆さん次第です。プロジェクトを終えるたび、寄付するたび、新会員を迎えるたびに、皆さんはマジック(魔法)を生み出すのです。
私はロータリーファミリーを愛しており、皆さまも同じだと思います。だからこそ、共にすべてのクラブと地区を魅力的していくことができると、私は信じています。今年度、「ロータリーのマジック」で世界を変えていきましょう。