奉仕プロジェクトを立案・実施し、成果を測定して、それを広く紹介する。プロジェクトには一連の流れ(ライフサイクル)があります。ここでは、プロジェクトの始めから終わりまで、各段階でご利用いただけるリソースをご紹介します。また、このページでは、国内外を問わず、またクラブ、ロータリー財団の補助金、または外部からの資金の有無にかかわらず、プロジェクトを成功に導くための要素が含まれています。
ロータリーの重点分野がいかに世界の最も緊要なニーズに対応しているか、また、前向きで末永く続く変化をもたらす意義ある奉仕にいかにして人びとの参加を促せるかをご覧ください。
プロジェクトの計画と実施
持続可能で好ましい成果をもたらすプロジェクトには、入念な計画が欠かせません。それぞれの地域社会には独自の強みと課題があるため、さまざまなグループと密接に協力しながら、最善の成果を目指すことが重要です。関係者全員と効果的で透明性のあるコミュニケーションを図ることを心がけましょう。
ステップ1:地区内のエキスパートが持つ知識を生かす
多くの地区には、技術的専門知識やプロジェクト計画の経験が豊かな地元のエキスパートから成るネットワーク(地区リソースネットワーク)があります。 地区リソースネットワークはコンサルティング会社のような存在であり、さまざまなプロセスを経験し、理解しているロータリー会員からアドバイスを受けることができます。
地元や海外でのプロジェクトに向けて、プロセスの早い段階で地区国際奉仕委員長からこのネットワークを紹介してもらいましょう。プロジェクトの立案やグローバル補助金の申請において支援を提供してくれるでしょう。地区や地域のエキスパートは、以下の点でクラブを支援することができます:
- ロータリーの補助金制度を理解する
- 重点分野に沿ったプロジェクトを立案する
- 地域社会調査を実施する
- 持続可能なプロジェクトを立案する
- プロジェクトのパートナー候補を探す
- 資金源を特定する
- 成果の測定と評価の基準値を決める
- 戦略に変更が必要かどうかを見極める
- 学んだことをシェアする方法を決める
地区リソースネットワークを通じて、 ロータリー行動グループ、 ロータリー財団専門家グループ(Cadre)のメンバーとつながることができます。 これらのグループが提供できる支援の内容については、 こちらをご覧ください。
ステップ2:地域社会調査を実施する
ニーズや課題への対応方法を特定する際には、地元の人びとと協力しましょう。そのうえで、活動に必要なリソースを判断します。地元の人びとにプロセスの全段階(調査とプロジェクトの立案)で積極的に関わってもらうようにします。 ロータリー地域社会共同隊 は、プロジェクトで大きく影響を受ける地域社会の人たちとの関係構築の一助となる存在です。グローバル補助金に申請する場合は、申請書に地域社会調査の結果を含める必要があります。
ステップ3:プロジェクトの目標を立てる
プロジェクトの目標は、地域社会の目的やプロジェクトで目指す即座の結果や短期的効果を基に決定すべきです。どのような変化をもたらしたいかを考えることで、プロジェクトのインパクトを最大限とすることができます。その上で、成果につながる具体的な活動を決定します。
プロジェクト開始前にデータ収集の方法を決めておき、プロジェクトを通じて情報を集めながら、進捗を測り、目標が達成できているかどうかを測定します。モニタリングと評価の計画はグローバル補助金の要件ですが、すべてのプロジェクトにおいてこの計画を立てることが奨励されています。グローバル補助金を申請する計画がある場合、成果の測定方法やモニタリング計画の見本が掲載された「 グローバル補助金 モニタリングと評価の計画について」 をご参照ください。
ステップ4:パートナーと協力する
パートナー団体は、プロジェクトの質を向上させ、参加者の基盤を広げ、インパクトを高めるための専門知識とリソースを提供できます。また、ほかのロータリークラブや ローターアクトクラブ会員、ロータリー行動グループ、ロータリー地域社会共同隊、国際共同委員会と協力することも検討しましょう。インターアクトクラブ、ロータリー平和フェロー、ロータリーの 戦略、奉仕、プロジェクトパートナーとも協力できます。
ステップ5:プロジェクト計画と予算を作成する
リソースを管理し、起こり得る問題に対処し、プロジェクトの成果を評価するには、総合的なプロジェクト計画と予算を作成する必要があります。予算を立てる際には、商品やサービスが妥当な価格かどうかを見極め、予期せぬ経費や費用増大のための資金を確保します。プロジェクトを持続可能なものとするため、受益社会の人びとやほかの関係者にも参加してもらいましょう。プロジェクトの運営または維持について、関係者全員が理解し、資金源を確保するようにします。
データ収集、分析、コミュニケーションの費用を予算に含めることを忘れないでください。プロジェクトによる変化をを測定し、達成や学んだことについて共有するために重要となります。実施計画とスケジュールについて関係者と定期的に話し合い、必要に応じて変更を加えましょう。プロジェクトやグローバル補助金の監督の参考とするために、ロータリーのラーニングセンターから クラブ奉仕プロジェクト委員会 のモジュールを参照することができます。
プロジェクトに必要なリソースを確保する
地区リソースネットワークやパートナーからのアドバイスを生かしたり、プロジェクトに必要な資金やほかのリソースを確保するために財団補助金やほかの資金源を確保しましょう。
ステップ1:プロジェクトの情報を発信する
プロジェクトの計画と目標が決まったら、奉仕プロジェクトセンターに概要を掲載しましょう。クラブの奉仕活動についてロータリー内外に発信し、パートナーや資金を集めるのに役立ちます。ソーシャルメディア、クラブのニュースレターやウェブサイト、そのほかの媒体を使ってプロジェクトを紹介することもできます。
ステップ2:プロジェクトフェアに参加する
プロジェクトで一緒に協力できるクラブや地区のパートナーを見つけたり、クラブが援助国側として支援できるプロジェクトを見つけるために、バーチャルまたは直接対面式のプロジェクトフェアに参加しましょう。実施国側クラブとのネットワークを築き、現地の事情について学んだり、支援するプロジェクトを見つけたりする機会となります。国際奉仕プロジェクトを支援したいクラブの代表者、またはロータリー会員なら誰でも参加でき、地区はプロジェクトフェアの参加にかかる費用を地区財団活動資金(DDF)から賄うことができます。
ステップ3:ロータリーを通じて資金を確保する
ロータリー財団は、すべての重点分野にわたるプロジェクトを支援しています。クラブや地区が利用できる資金は以下の通りです:
- 地区補助金 は、地域社会のニーズに応える、小規模で短期間の活動を支援
- グローバル補助金は、持続可能で測定可能な成果をもたらす、大規模な国際奉仕活動を支援
- 災害救援基金は、自然災害で被災した地域社会を支援
- 大規模プログラム補助金は、ロータリー会員が中心となり、すでに成果を実証している、長期的で大きなインパクトをもたらすプログラムを支援
補助金の対象となるプロジェクトや申請方法については、こちらをご覧ください。地区ロータリー財団委員会と相談し、地区を通じて利用可能な資金の活用も検討しましょう。
ステップ4:ロータリー外からの資金を確保する
ロータリー外からの資金調達方法の例:
- マラソン大会などの特別イベント
- オンラインのクラウドソーシング
- 個人の寄付者
- 企業または地元の事業
- ほかの団体
- 非営利団体や非政府団体
- 政府機関
- ほかのクラブや地区
プロジェクトの資金調達やファンドレイジングのヒントは、 こちらをご覧ください。
プロジェクトの実施
プロジェクトを実施する際には、関係者に進捗状況を常に伝え、プロジェクトの認知度を高め、立案に協力してくれた専門家との連絡を取り続けましょう。
ステップ1:コミュニケーションを図り、フィードバックを求める
ボランティア、地域社会の人びと、パートナー団体、資金提供団体、プロジェクト関係者に進捗を報告しましょう。全体的な目標に焦点を当てながら、プロジェクトを改善するためにフィードバックを各グループの人びとに求めます。プロジェクトの成功には、明確なコミュニケーションが欠かせません。
ステップ2:プロジェクトの認知度を高める
プロジェクトについて広く周知するために、ソーシャルメディア、クラブウェブサイトなどを利用しましょう。ボランティアや地域社会からの支援や募金を促すことができます。
ステップ3:プロジェクトの期間中、質問をする
プロジェクトの実施や直面した課題について、地区リソースネットワークのメンバーからのアドバイスを求めましょう。専門家にさまざまな質問をすると同時に、プロジェクトの実施状況を知らせると良いでしょう。
プロジェクトの評価と推進
プロジェクトの結果を評価し、成果を測定し、課題を振り返るまでは、プロジェクトが完了したとは言えません。これは、クラブの今後のプロジェクトにとって有益であるだけでなく、同じようなプロジェクトを立案・実施しようとしている人たちにも役立ちます。
ステップ1:成果を測定する
プロジェクトを通じて収集したデータを使用して、地域社会にもたらされた変化を測定します。また、設定した目標を達成したかどうかを確認します。目標が達成されなかった場合、次回のプロジェクトをどう改善できるかを検討しましょう。より大きなインパクトをもたらすためには、戦略を柔軟に変更する必要があります。
ステップ2:プロジェクトの周知を図り、学んだことをシェアする
データを収集することで、奉仕活動とその変化についてより良く伝えることができます。直面した課題をどう克服したか、そこから何を学んだかなど、ほかの人が同様のプロジェクトに最善のかたちで取り組むためのヒントを紹介します。
プロジェクトの成果を広く紹介する方法の一つは、奉仕プロジェクトセンターへの掲載です。掲載の際には写真をアップロードし、掲載したページをソーシャルメディアでもシェアしましょう。クラブのプロジェクトの推進について、詳しくは こちらをご覧ください。
ステップ3:報告書を提出する
プロジェクトに関わったパートナー団体、支援者、その他の関係者に最終報告書を送りましょう。グローバル補助金を利用した場合、12カ月ごとに進捗報告書を、プロジェクトの完了後2カ月以内に最終報告書を提出する必要があります。
そのほかの情報
- 「ロータリー奉仕の最新情報」や「寄付増進&補助金」ニュースレターを含む各種のニュースレターを受信登録しましょう。
- 立案の早い段階で地元の専門家と協力し、プロジェクトやグローバル補助金の質の向上を目指しましょう。