クラブで発信するストーリーを作る際は、写真、ビデオ、音声の作製、収集、使用、配布に関する地元の法律や慣習を守ることが重要です。会員や被写体となる人のプライバシーを尊重し、情報・肖像を適切に取り扱うための方法を確立しましょう。
奉仕プロジェクトの受益者、クラブ会員、地元の人びとの姿や声を収録する場合は、地元の弁護士に相談し、該当する国や地域で通用する肖像権利用許諾書を被写体から得るようにします。
国際ロータリーでは、ロータリークラブによる活動を推進し、会員が作成したコンテンツを使用することを希望しています。ただし、被写体の利用許諾を得ていないコンテンツや、会員が使用権利(ライセンス)を持っていないコンテンツを使用することはできません。
肖像権の利用許諾書を使用する目的は何ですか?
肖像権利用許諾書(許諾書)は、肖像、声、ストーリー、個人情報が記録される旨をその被写体に通知し、写真、ビデオ、インタビュー、その他の記録物(記録物)とその使用に関する同意を得るためのものです。許諾書は、プライバシーの侵害、肖像権の違反、名誉棄損などの法的な申し立てから、被写体、記録物の作成者、クラブを守るものです。肖像権利用許諾書(model release)は、英語で「likeness release」や「personal release」と呼ばれることもあります。
許諾書は、いつ使用すべきですか?
個人の身元が特定されうる記録(撮影、録音、インタビュー等)を行うときは常に使用します。記録物を使用(発行)する場合は、その中で身元が特定されうる個人一人ひとりから許諾を得る必要があります。また、実際の人物に基づくイラスト、デジタル資料、その他についても許諾書を得るべきです。許諾書を得る際は署名をもらってください。
許諾書は書面で行うべきですか?
はい。国や地域によっては口頭での許諾で十分な場合もありますが、書面での許諾書があれば、相手から許諾していないという申し立てがあった場合でも許諾の事実を証明することができます。
子どもに関しては特別な配慮が必要ですか?
はい。未成年者である子どもの親、法的保護者、または法的代理人が、許諾書に署名しなければなりません。日本では、満20歳に満たないものが未成年とされます。国際ロータリーでは世界共通で、18歳未満の人の親、法的保護者、または法的代理人に署名を義務付けています。
団体・グループを撮影する場合、一つの許諾書で十分ですか?
1名が団体・グループを代表して許諾書に署名することはできません。イベントや行事の参加申込や登録書式に許諾を得るための文面を含める場合は、地元の法律家とご相談ください。
私のクラブが非営利の団体である場合、特別な配慮が必要でしょうか?
いいえ。非営利であるという理由で報道機関の例外措置を受けたり、メディアや一般社会の関心を引いたりする可能性は低いものです。クラブの活動に関するストーリーを伝えることがマーケティング・推進の本質的な要素となり、その際に許諾書を使用することによってクラブを法的に守ることができます。
建物や所有物に関する許諾書は必要ですか?
建造物や所有物が記録物に収録されており、その所在を明確に特定できる場合、そのための許諾書が必要となります。例として、所有物にブランド名や商標が記されている場合や、建造物が商標法や著作権法で守られている場合に許諾書が必要です。
基本的な肖像権利用許諾書には、どのような内容が含まれますか?
次の要素・項目が含まれます。
- あなたが被写体の肖像や声を記録する権利を有していることに対する、被写体による同意
- あなたが被写体の氏名、ストーリー、個人情報を記録し、使用する権利を有していることに対する、被写体による同意
- 肖像、声、ストーリー、個人情報の使用方法に関する説明(制限のない使用が好ましい)
- 記録物が使用される地理的範囲に関する説明(世界的な使用が好ましい)
- 記録物が使用される時間枠に関する説明(無期限が好ましい)
- 記録物の使用ライセンスを他の関係者(クラブや第3者を含む)に付与する権利
- 利用許諾のために被写体が受け取る一切の支払い(対価)に関する説明
- 記録物を確認または承認する被写体の権利放棄
- 訴訟を起こさないことに関する同意
- 著作権の所有に関する説明(記録物を収録者が所有者となる)
- 該当する国や地域の法律で必要とされるその他の規定
- 署名欄(保護者、法的保護者、法的代理人による署名の欄を含む)
国際ロータリーは、クラブが使用するための許諾書を提供していますか?
許諾書に関する法律は、国によって異なるため、国際ロータリーではクラブが使用するための許諾書を提供していません。地元の法律権利団体、大学、撮影事業団体が、公で使用するためのオンラインリソースを提供している場合があります。利用許諾書のテンプレートをインターネットで検索してもよいでしょう。
その他の検討事項
ベストプラクティス:
- 許諾書と許諾者を同時に確認できるよう、許諾人の写真付きの署名入り許諾書を保管する
- 何よりも被写体にとっての最大の関心を尊重する
- 個人的なストーリーが当事者にもたらしうる、予期せぬ政治的、社会的、文化的な影響を検討する
- 被写体やその家族を危険に晒す可能性がある画像やストーリーは発行しない
- ストーリーが正確であることを確認する(特に未成年者に関するストーリーの場合)
- とりわけ、未成年者の記録物を使用しないことを検討する
- 被写体の使用言語に翻訳した許諾書を用意する
著作権に関する検討事項
記録物の著作権は、写真、ビデオ、インタビュー、その他の記録物を収録する本人が所有します。つまり、あるクラブ会員が撮影した写真やその他の記録物の著作権は、クラブではなく、その会員が所有します。そのような記録物をクラブが使用する場合は、事前に著作権の使用者から使用許可や使用権利を得なければなりません。所有者がその他の人や団体(クラブを含む)に記録物の使用権を認める場合は、記録物の被写体がその使用に関する許諾書に同意する必要があります。